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5分で読める睡眠専門医のはなし


professional_interview 寝るはチカラだ

第2回 いびきの原因を理解して自分にあった適切な対策を

いびきが心配で友人と旅行にいけない、家族にいびきがうるさいといわれて別の部屋で寝ることになったなど、いびきで困っている方もいるのではないでしょうか。今回は、いびきがでる原因にはどんなことが隠れているのか紹介していきます。

■いびきの原因

いびきの原因は、就寝中、息をするときに空気の通り道のどこかに狭いところがあることです。笛の音がなるのと同じ要領で狭いところを空気が通るとき、振動が発生し「ゴー、ゴー」といういびきになるのです。
空気の通り道が狭くなる、これがいびきの本質ですが、なぜそのようなことが起きるのでしょうか。

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・骨格の問題で顎が小さいためにのどの空間が狭い
・扁桃(アデノイド)や口蓋垂(のどちんこ)が大きいためにのどが狭い
・鼻炎で鼻がつまっていて空気の通りが悪い
・鼻中隔湾曲(鼻の骨が曲がっている)で空気の通りが悪い
・加齢により口やのど周りの筋力が落ちて横になると舌根沈下する
・睡眠薬や飲酒により口やのどの周りの筋力が脱力して舌根沈下する
・肥満により首の周りにも肉がついて気道が狭くなる

などがあげられます
このなかで、睡眠薬や飲酒など一時的なものは別として「肥満」が唯一、生活習慣と密接に関わりがあることにお気づきでしょうか。
中高年になり体格が大きい人が増えるのと同時にいびきで悩むひとが増えることもうなずけます。

■いびきはいつ頃からでてくるの?

いびきで悩むのは何歳くらいからなのでしょうか。こどもでもいびきはかき、これは扁桃が大きいことが影響しているため5-7歳がピークとなります。その後、扁桃は縮小していくため徐々にいびきも減っていきます。

その後、年齢とともに肥満が増えていくことでまたいびきをかく方の割合は増えていきます。20代で痩せていたひとも30代にさしかかる頃には徐々に体型がかわり男性では40代が肥満のピーク、女性は年齢とともに肥満の割合が増えていきます。

肥満の原因は加齢とともに基礎代謝が落ちること。そして、それにも関わらず運動量が減ることが大きな原因としてあげられます。就労世代であることからストレスも多く、飲酒量も増え、生活のリズムの乱れから睡眠時間が短いこと、食事の時間帯がずれることなども関わってくるでしょう。
女性でも同様のことがいえますが、それ以上に女性ホルモンの低下が、肥満が増えることに直結しています。女性ホルモンが低下することで高血圧やコレステロールの値が高くなり、肥満も増えてきます。


■いびきを予防する

いびきをかいていると睡眠の質にも影響を及ぼします。良質な睡眠を得るためにもいびきの予防も大切です。いびきを防ぐ方法にはどんなものがあるでしょうか

・ダイエット
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いちばんのいびきの治療、予防法としてはダイエットです。骨格の問題や扁桃が大きいことで痩せている方でもいびきをかきますが、そういったいびきをかきやすい素因があるところに肥満が重なると容易にいびきをかくことにつながります。

適切な食事や運動を心がけ体重を落とすことでいびきの予防につながります。



・鼻呼吸をする
起きると口が渇いている、という方は寝ている間は口呼吸になっているかもしれません。口呼吸では舌根沈下しやすくいびきが出やすい状態です。また、ウィルスなど直接口の中に入り感染にも弱い状態になってしまうため鼻呼吸を心がけましょう。舌の力が弱いことが口呼吸の原因になることもあります。口や舌の体操で舌を鍛え、日頃から口を閉じることを心がけてください。寝るときに鼻チューブをしたり、口にテープを貼ったり、顎ベルトをするのも有効です。

・横向き寝をする
仰向けで寝ると物理的に気道が狭窄しやすくなります。横向きで寝るようにするだけでいびきがおさまるかもしれません。ただし、横向きで寝ても寝ている間に上を向いてしまうという方も多いでしょう。ウェストポーチにテニスボールをいれて背中にしょって寝るという方もいました。抱き枕や横向き寝の枕を使ったり、クッションを背負うタイプの横向き寝グッズも市販されています。

まとめ

5分で読める睡眠専門家の睡眠のはなし

中高年の方で気になるいびきのいちばんの原因はなによりも肥満です。いびきが睡眠の質を妨げ、ますます痩せにくい体質へとなり悪循環を生み出している状態といえます。睡眠の状態、いびきをかいているかなどは家族に指摘されることで気づかれることも多いですが、最近ではアプリを使って自身で調べることもできます。若いときとくらべて10kg以上太ってしまったという方はいびきをかいているかもしれません。自身の睡眠の状態をチェックすると共にいびきが気になるという方は体重を落としていびきが改善するかチェックしてみてください。

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木村 眞樹子プロフィール
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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