コラム

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5分で読める睡眠専門医のはなし

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第3回 不眠を改善する方法、気を付けたい6つの生活習慣

不眠症ってどういうこと?

不眠症というと、夜眠れていないことをさすと思う方も多いかもしれません。しかし、不眠症は夜の睡眠の状態だけでなく日中の起きている時間の状態も含めて評価します。
誰でも、緊張や心配ごとがあるときなどは眠れない夜があると思います。でもまた数日のうちに眠れるようになることがほとんどです。しかし、眠りの状態に1か月以上問題があると不眠症の可能性があります。
また、眠りに問題があることで日中の活動にも影響がでるようになり、だるい、集中力がおちる、めまい、食欲がないなど様々な症状につながるのです。

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長期に睡眠に問題があること、そして、日中の活動に問題があること。夜間と日中の問題が双方あることが不眠症の診断となります。

不眠症のタイプは4つ

夜眠れない、という訴えを総じて不眠症とよび、4つのタイプがあります。

「入眠困難」
なかなか眠れない、寝付きが悪いことを「入眠困難」といいます。概ね布団にはいってから入眠までに30分以上かかり、それにより苦痛を感じる状態です。

「中途覚醒」
夜中に途中で起きてしまうことを「中途覚醒」といいます。寝付くことはできても夜中に起きてしまう、そのあとなかなか寝付けない。寝付くことができても再び就寝中に起きてしまう、それをつらく感じる状態のことをいいます。

「早朝覚醒」
朝はやくに起きてしまうことを「早朝覚醒」といいます。希望する起床時間よりも早く起きてしまい、それ以上眠れないことを苦痛に感じる状態です。

「熟眠障害」
寝たのに眠った感じがしないのが「熟眠困難」です。睡眠時間は十分とっているにもかかわらず寝た感じがしない、ぐっすり寝た感じがしないためつらく感じる状態をいいます。

不眠症の原因

不眠になる大きな原因の一つにストレスがあります。特にデリケートで真面目な性格な人はストレスを感じやすいといわれています。また、ストレスを感じることで眠りの状態が不安定になり、さらに睡眠の状態が気になることで不眠症になりやすいといえます。
心の病気は睡眠障害と大きく関連しています。うつ病のひとでは9割に睡眠障害があるともいわれているのです。不眠症がうつ病に関係している場合にはうつ病の治療をする必要があります。


心がけたい生活習慣3つ

睡眠の状態が悪いときにまず気を付けてほしいのが生活習慣です。

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(1)朝の起床時間を整える
夜眠れないと朝起床するのがつらい、と寝床に遅くまでいてしまいがちです。ヒトは起床から14時間程後に眠くなるといわれており起きるのが遅くなることで入眠の時間に影響、徐々に体内時計がくるってしまいます。夜の睡眠状態にかかわらず朝の起床を一定にすること、そして起床後にカーテンを開ける、朝食をとることで体内リズムをリセットすることが必要です。

(2)昼寝をするなら15時までに15分
日中眠くなってしまう場合には15分程度の昼寝をとると効果的です。しかし、15時以降の昼寝は夜の就寝にも影響してしまうのでそれまでに。お昼を食べたあとの生理的に眠気を感じる時間帯がいいかもしれません。

(3)就寝1時間半前の入浴
体温が下がるときにスムーズに入眠することができます。就寝の1時間半前くらいの時間に約40℃のお湯に15分程度つかるのがお勧めです。深部体温が上がり、入浴後より少しずつ体温が下がり始めるのでそのタイミングで入眠するようにします。



避けたい生活習慣3つ

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(1)寝る前のスマホに注意
寝るときに大切なホルモンにメラトニンがあります。脳の松果体というところで作られるホルモンですが、光をあびるとメラトニンは作られなくなります。そのため、日中には体内に少ないメラトニンの量は夜にかけて増えていくのです。就寝にむけて増えるメラトニンのですが、強い照明(コンビニの店内)やスマホの画面をみることでメラトニンの量はさがってしまいます。就寝2時間前にはテレビ、スマホを消すことをお勧めします。

(2)カフェインの摂る時間に注意
カフェインに目を覚ます作用があるのはご存じのことと思います。日中のカフェインは眠気をとばすよい飲み物ですが、寝る前にカフェインをとると入眠の妨げになります。エナジードリンク、コーヒーだけでなく、紅茶や緑茶にもカフェインは含まれているので注意してください。就寝の約4時間前にはカフェインをとるのを控えることをお勧めします。

(3)寝酒の習慣は良眠の妨げ
「お酒を飲むと眠れる」、と言って寝酒をしてしまうという方もいるかもしれません。アルコールは入眠しやすくなりますが、中途覚醒を促してしまいます。寝るときには酔いを醒ましてから布団にはいることが不眠症の改善につながります。

不眠症と思っていたら違う睡眠障害が隠れていることも

布団にはいると足がむずむずして動かずにはいられない場合にはムズムズ脚症候群の可能性があり、主に脚に強い不快感が現れることで眠れないという症状がでます。いびきがひどく睡眠時に無呼吸がある場合には睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があり、SASの症状があると日中の活動にも支障がでます。不眠以外の症状がある場合にはほかの睡眠障害の可能性があり、それぞれ適した治療が必要になるため、まずはかかりつけ医や睡眠科の外来へご相談ください。

次回、不眠症を克服する例をご紹介します。

木村 眞樹子プロフィールの写真

木村 眞樹子プロフィール
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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