コラム
タイトル:自律神経の名医が実践する「寝入りが9割」の睡眠技術
小林 弘幸 著
新書: 180ページ
出版社: ポプラ社 (2018/11/9)
発売日: 2018/11/9
vol.05 自律神経の名医が実践する「寝入りが9割」の睡眠技術
たとえ6時間前後の短い睡眠時間でも、睡眠の質を高めることで睡眠不足からくるダメージは、リカバリーできます。
そのためのポイントは、寝入りの90分のノンレム睡眠の質を高めること。具体的には自律神経を整え、腸内環境を良い状態に保つことです。
「眠れないこと」を怖れなくて良い
よくいわれる「ショートスリーパーがいいのか?ロングスリーパーがいいのか?」という問題も、それは個々の遺伝子=体質なので、どちらがよいということはないのです。そのどちらにも共通して言えることが、寝入りの90分がもっとも重要だということ。寝入りの90分の質を高めることができれば、適切な睡眠時間が取れたときの熟睡感に限りなく近づいていけるのです。
寝入りの90分の質を高めるということに加えて、睡眠のリズムを崩さないということが短時間でも熟睡感を得るポイントです。夜中に尿意で目覚めてしまうと、ノンレム睡眠→レム睡眠というサイクルがくずれ、たとえトータル7時間以上眠ったとしても、実質はかけ離れたものになってしまいます。
寝床に入ったときに、身体をしめつけないで血流を滞らせない、ゆったりとした下着やパジャマ、自分の「気持ちいい」と感じられるものを基準に選びましょう。ただし、寝ている間の温度調整は、意識すること。私たち人間は深部体温がすーっと下がったときに、もっともスムーズに寝入りの90分=ノンレム睡眠にはいります。
さらにこれは案外盲点なのですが、寝入りの90分にスムーズに入っていくのには、あおむけ、うつぶせ、横向きのうち、自分はどういう姿勢で寝るのがいちばん楽で気持ちいいのか?ベストな寝方、それを知っておくことも非常に大切です。
目覚めたときは、太陽の光を浴びることを意識してください。睡眠の質を高めるためには、晴れの日でも雨の日でも、とにかく毎朝、カーテンを開けて、空を見上げ、外の光を感じてください。24時間より少し長い体内時計のズレを、時計遺伝子を活性化させてリセットできます。通常の室内の明るさを200ー500ルクスとすると、太陽光の10分の1。直接太陽が出ていない曇りや雨の日であっても、屋外は室内の5倍以上の明るさがあるからです。ただし、できるだけ「起きたらすぐに」ということを意識してください。起床後2時間以上、太陽の光を触れず室内にいたままだと、体内時計のリセットが十分に行われません。
日中でも、太陽の光を浴びることは、私達の精神安定や幸福感を司り、夜は熟睡ホルモンとなってくれる、セロトニン、メラトニンという脳内物質の生成に不可欠です。日中は、できるだけ歩くことで、セロトニン、メラトニンの生成をさらに活性化し、夜の熟睡にいざなってくれるのです。運動不足になりがちな現代人にとって、疲れたときほど、体を動かすこと。なぜなら疲れというのは血流の停滞だからです。
眠りを深くするために、もう一つ意識することは腸の働きです。私達の体内時計では、腸の働きが最も活性化し、熟睡スイッチ=副交感神経の活性がピークに達するのは、午前0時過ぎ。つまり、この時間帯に眠りに入って入れば、睡眠の質は自ずと高まります。消化・吸収がきちんと行われる、腸内環境が整い、結果として血流がよくなり、全身の細胞の新陳代謝が促されます。細胞の新陳代謝が上がると、太りにくくなり、髪や肌がつややかになり、免疫力も高まります。
しかしながら、ほとんどの人は「なぜ睡眠と腸内環境が関係するのか?」と半信半疑の顔になります。
腸は血液を作る大もとの期間であり、日々のコンディションに大きな影響を与えているのです。そしてその腸の働きをコントロールしているのが自律神経なのです。血液循環、消化吸収などは自律神経が担っているのです。最近の研究では、腸内環境をよくすることで自律神経が整うということもわかってきています。つまり自律神経と腸内環境は互いに影響しあっているのです。ですから、熟睡スイッチを入れる副交感神経を活性化させるためにも、腸内環境を良くすることは効果的なのです。
熟睡ホルモン・メラトニンは、文字通り眠りを誘うホルモンで、セロトニンという脳内物質から作られます。そして、そのセロトニンの大半は、じつは脳ではなく腸壁で作られるのです。この腸で作られるセロトニンが、何かしら脳のセロトニンに影響を与えるとされています。だからこそ腸内環境を整えることが大切になってきます。
すべての健康のもと=質の良い血液をつくだすのも、腸内環境です。腸内環境を良くして、腸のうっ滞が改善し、蠕動運動が活性化すると、腸管の機能も高まり、栄養素が吸収されるようになります。すると肝臓→心臓をへて全身に送られる血液も当然栄養素と酸素をたっぷり含んだ質のよい綺麗な血液になり、血流もアップ。細胞のすみずみまで質の良い血液がゆきわたることで、すべての内臓の働きが回復し、脳の働きも整います。
腸内環境を整え、熟睡できる体に変わるためには、まずは起き抜けにコップいっぱいの水を飲むこと。これにより眠っていた間に濃くなっていた胃酸が適度に薄まり、その後にとる朝食の消化吸収をよくしてれます。また血液に水分を補給し、さらさらな血液に戻してくれる効果がある。最後に、「胃結腸反射」を誘導します。平たく言えば、胃腸のぜんどう運動を促す反応です。胃腸は副交感神経の支配下にある臓器なので、それらを動かすことによって、副交感神経を刺激することもできます。
一日、1~2リットルを目安にこまめに水を飲むことで乱れた自律神経を整え、身体全体の機能を高めることができるのです。
就寝前のルーティーン
(1)できるだけ寝る3時間前までにすべての飲食をすませておく。夕食が遅くなる場合は、軽く消化の良い食事にする
(2)39ー40℃の温めのお湯で15分前後の半身浴をする
(3)短い日記をつけ、ストレスになっていることを書き出す
(4)明日の洋服の準備をする
(5)1:2のぐっすり呼吸法、タッピング、ストレッチをする。
緊張を緩和し、血流アップ、メンタル安定のためのタッピングのやり方
(1)3本の指でやさしくたたく
椅子に座り、背筋を伸ばして胸を張り、人差し指、中指、薬指の三本の指を使って、側頭部からおでこへ向かって軽くソフトに叩きます。
(2)顔全体をタッピング
眉間→眉の下→目の周り→鼻の下→あごの順に、合計30秒をメドにタッピング。場所はあまり厳密に考えず、気持ちがいいと感じる場所を叩けば大丈夫。
タッピング=たたく下限は、指の腹が軽く肌に触れる程度で。強くたたきすぎると交感神経が上がってしまって逆効果になります。
この本には、眠りにつくためのストレッチ(=セルエクササイズ)が図解で掲載されています。
非常にわかりやすく睡眠の質に悩まれている方は一読をおすすめします!
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