Professional Interview

レースも練習の一環だと思っているところがあり、あまりレース当日を特別視していません。もちろん選考会など、年に何度かは大切なレースはありますが、だからと言って、その日のために何か特別なことはしていません。

でも、レース前のウォーミングアップに対する考え方は、ほかの人とは大きく違うと思います。ウォーミングアップは、本番前にいかにして心と体の満足度を上げることができるかが大切です。その意味では、私にとって、睡眠は大切なウォーミングアップの一つなのです。

だからと言って、試合前のウォーミングアップを軽視しているわけではないのです。しっかり寝て、レース前にもしっかりアップができればベストですよね。でも、働きながら泳いでいる以上、必ずしもそうはいかないこともあります。そんなときは、レース会場でのアップよりも、睡眠を優先するようにしています。

特にレース当日の会場は、早朝にウォーミングアップをしようとする選手たちで混雑することがあります。その混雑を考えて、睡眠時間を削るくらいなら、レース会場でのアップ時間を削って睡眠にあてるようにします。会場に着いて、1人だけ体が乾いた状態で、キャップも被らないまま、ダッシュコースに直行することもありますよ。周りの選手たちは変なふうに思っているかもしれませんが、多くの人にとって良いことが、私にとって良いこととは限らないし、周りの目も気にしていないので、それができるのかもしれませんね。

レース前に、いくら練習を頑張ったところで、すぐに結果が出るわけではありません。練習でせっかく積み重ねてきたものを、良くも悪くも変えてしまうのがコンディションです。そして、そのコンディションに一番大きな影響を与えるのが睡眠だと思います。

しかも、日々の練習に置き換えても同じです。練習による積み重ねの質を良くも悪くもしてしまうのが睡眠だということだと思います。だから、普段から、何時に寝て何時に起きるというように、自分でコントロールできることを大切にしていますね。

今までを振り返ってみると、試合の結果がその日のメンタルに左右されていることが多いことに気がつきました。私の場合、朝起きた時に「よく眠れた！」と思えることを、普段から大切にしています。1日のスタートを気持ちよく切ることができると気持ちの満足度が全く違うし、前向きに１日を過ごすことができると思います。１日を楽しく過ごすためにも、睡眠をその第一歩にしてみてはいかがでしょうか？

まとめ
・良い睡眠をとるために、自分で考え、試してみる。何が一番自分に大切かを知ろう。
・睡眠は、結果を出すための大切なウォーミングアップの一つ
・コンディションに波を作らない。常に良い状態をキープする努力を
・良い睡眠、気持ち良い目覚めがその日の満足度を高める

最後に

これまで複数のトップアスリートや元アスリートのビジネスマン、日本ではじめてのパーソナルトレーナーらに話を聞いて確信したことがある。

いっときの良い睡眠はパフォーマンスの「起爆剤」にはなりえない。しかし継続して良い睡眠をとることでコンディションを高い位置でキープする動力として必要なものであることがわかった。一流のアスリートたちは、トレーニングと同じように、自分で検証しながら睡眠へアプローチしている。
安定して高いコンディションを保つ彼らから、私たちが参考にできることは多いはずだ。寝不足で体の調子が悪く、仕事がはかどらなかったり、イライラしたりすることはよくあること。「睡眠負債」ではなく「睡眠で自分に投資する」意識をもってみてはどうだろう。アスリートも私たちも体が資本。仕事のパフォーマンスを上げる上でも、アスリートたちの言う「Keep Peak」は今後、私たちビジネスマンにとっても重要なキーワードになっていくのではないだろうか。

それを支えるのが睡眠である。まさに「寝る」ことは「チカラ」なのだ。