パフォーマンスアップのための睡眠講座

パフォーマンスアップのための睡眠講座
パーソナルトレーナー編

パフォーマンスをあげたいなら
「休養力」をあげよう(後編)

パーソナルトレーナー 栗田 興司
プロフィール:栗⽥興司(くりたこうじ)。Physical Conditioning Production(PCP)代表。スポーツ科学分野の研究とパーソナルトレーナー活動を両⽴して予防医学の普及に取り組んでいる。2016年より新⼤阪でパーソナルトレーニング専⾨施設「PCP×Lasante」を開設。天理⼤学ラグビー部のコンディショニングコーチなども務める。⼀般社団法⼈ ⽇本健康予防医学会常任理事。スポーツ健康科学修⼠。

「もっと競技でのパフォーマンスを上げたい」「追い込んでいるのに効果が感じられない」という⽅に「回復」をテーマとし、トレーニング、栄養、そしてアスリート本⼈の視点から、解決策を⾒出します。1回⽬の講義は、1996年に⽇本初のパーソナルトレーニングジムを開き、今ではボクシング、K-1、テニス、ゴルフ、ラグビーなど、数々の競技でコンディショニングコーチを務める栗⽥興司さん。ひとりひとりのカラダの機能評価をもとに個別に最適なプログラムでサポートをする栗⽥さんが語るパフォーマンスアップの秘訣とは。

回復⼒向上のポイントとは︖

「回復⼒を上げる=睡眠の質を上げる」ために、まずはひとりひとりの「睡眠」に関する現状を把握します。ヒアリング項⽬はとてもシンプルです。例えば「寝る時間、起きる時間は決まっていますか︖起きた時の様⼦はどうですか︖⽇中に眠くならないですか︖」など。ここで出る悩みは、⼈それぞれですが、まずはその⼈が実⾏しやすい事、例えば、シャワーなどで少し体温を上げてから下がるタイミングでベッドに⼊りましょう、眠る前にゆったりと呼吸を整えましょう、などのアドバイスをします。しばらく経ってから同じインタビューを聞いて変化を図ります。

睡眠の悩みをチェックした後は「呼吸」の練習から始めます。例えば、あおむけで背⾻を重⼒から解放させたリラックス状態でゆったりと⿐で吸って吐く練習です。これができるようになれば、次は四つ這いや⽚膝⽴ちの姿勢で練習し、最後は⽴位、歩⾏と進めていきます。随時、姿勢をコントロールしながら指⽰通りの「呼吸」ができるかをチェックしていきます。⽇常動作から、肩や⾸を使いすぎない正しい「呼吸」を⾝につけて、⼼と体の不必要な過緊張状態を解消し、睡眠の質を向上させる、というアプローチです。

パフォーマンスアップとは「睡眠を知る事」から

睡眠の悩みに対して、呼吸からアプローチする上で、もうひとつ、気になるのが「いびき」です。いびきをかく事はスムースな呼吸が制限されている証拠です。特に⿐での呼吸ができずに⼝呼吸をしていると上顎と⿐腔の奥の柔らかい部分が落ち込みやすく、空気抵抗が⼤きくなりいびきとなります。最近は、睡眠専⾨のクリニックが増えてきて、割とポピュラーになってきていると思います。お客様とクリニックの情報を共有したりしています。最近はいびきを計測するアプリなどもあるので、そういったものも活⽤しながら、ぜひ⾃分の睡眠の実態を把握して欲しいです。

かつて私が担当していたトップアスリートの呼吸が不⼗分な事に気づき、病院で⿐腔の⼿術をした事があります。ずっと⽚⽅の⿐でしか息をしていない事に気づいていなくて、⼿術後に「朝こんなに快適に起きられるとは思わなかった」と⾔っていましたね。睡眠の量や質の改善がスポーツパフォーマンスを改善させるという研究報告もあります。

医療機関やデバイスをポジティブに利⽤する

「クリニック、病院」と聞くと、不安になったり⼼配したりする⽅もいますが、必要に応じて受診を勧めています。睡眠のコントロールは⾃分の意識では難しいものなので、起床時から疲れを感じる⽅や⽇中に業務に差し⽀えるほどの眠気に襲われる⽅には、⼆次的な労働災害や疾病予防のためにも受診を勧めています。

病院では、睡眠改善のための⽣活習慣のアドバイスや、薬を処⽅してくれる事もあります。最近では⿐にチューブを⼊れて気道を確保していびきを低減させる⽅法も出てきました。これは実際に、私が担当している選⼿たちも使っています。この⿐チューブは、私も最初は驚きましたが、選⼿達は使う間に慣れてくるようで、起床時の快適さから良い睡眠が得られている実感があります。練習中の集中⼒も⾼いようでトレーニングの質が上がっています。⿐チューブ以外にも、枕やマットレスなど、⾃分にあったものを選んで試すのもいいと思います。

トレーニングも栄養も、⾃分に適したもの、⾜りないものを選びながら進めていきます。同じように休養についても、トレーニングプログラムや献⽴のように、それぞれの⽅にあった処⽅が浸透していけばいいですね。適切な休養による速やかな回復がトレーニング効果であるパフォーマンスを最⼤化する秘訣だと思っています。

理想的な呼吸に必要な胸郭の左右対称の可動性が得られて、なおかつ⾻盤の歪みが解消されると背⾻にかかるストレスがなくなる。
そのため、⼤きく体を反らせる事が可能となる。

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