コラム
隠れ鼻づまりの原因と対策
隠れ鼻づまりにご用心
「隠れ鼻づまり」という言葉を聞いたことはありますか?日中には鼻が詰まっていないのに、夜になると鼻が詰まってしまうことをいいます。寝ている間だけに鼻づまりが起こるため、本人も気づかないことが多い症状です。朝起きたらなんかだるい、などの症状が出て初めて鼻づまりに気づくということも多いようです。
隠れ鼻づまりでどんな症状が出るの?
睡眠中に鼻づまりになると、下記のような問題が起こりやすくなると言われています。1. 睡眠の質が悪くなる
夜寝ている時に鼻づまりになると、鼻を空気が通りにくくなるために、息苦しさから眠りが浅くなってしまいます。また、体内に酸素を十分に取り込めないため、血液が酸素不足の状態になります。そのため、朝起きても疲れが取れない、といった症状が現れてきます。
2.口呼吸になるため、喉が痛くなったり風邪にかかりやすくなったりする
寝ている間に鼻がつまると、鼻(鼻腔)を空気が通りにくくなるために、体は自然と口から酸素を取り込もうとします。そのため、無意識のうちに口を開いて呼吸をします。人間は元来鼻呼吸をする動物で、鼻は取り込んだ空気に適度な湿気を与えたり、入ってきたウィルスを鼻水によって除去するなど、重要な「フィルター」の働きをしています。口呼吸になると鼻のそのようなフィルター機能が失われ、乾燥した空気がそのまま喉に入ってくるため喉が痛くなったり、口が渇いた感じになります。また、ウィルスが除去されずに体内に入ってきて、風邪をひきやすくなります。
3.いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状を引き起こす
寝ている間の鼻づまりによって、鼻の空気の通り道がとても狭くなって、そこを空気が通ろうとしたときに振動音が発生します。これがいびきです。特に鼻の通り道が狭くなって起こるいびきを「鼻いびき」と言います。また、この症状がひどくなって完全に空気の通り道を塞いでしまうと、睡眠時無呼吸症候群を発症します。
このように、隠れ鼻づまりを放っておくと体に大きな負担が生じ、放っておくと様々な病気を引き起こしてしまう可能性があります。
4.子どもの場合、睡眠の質の低下から脳の発育を阻害する可能性がある
寝ている間に、鼻から酸素をしっかりと体内に取り込めないことから血液中の酸素が慢性的に不足し、それが脳の発育に影響することもわかってきています。
自分が隠れ鼻づまりかどうかを見分ける方法は?
先ほど、「隠れ鼻づまり」は本人も気づかないことが多い、と書きました。それでも、最近は研究が進み、チェックリストを使って自分が隠れ鼻づまりかどうかを見分ける方法が発表されています。ここでは、黄川田 徹先生の「鼻専門医が教える 「熟睡」を手にする最高の方法」に書かれているチェックリストを紹介します。
□いびきをかくことがある
□口を開けて寝ている(うっすら開いている場合も注意。特に早朝)
□睡眠中に呼吸が止まることがある
□夜中に目を覚ます
□寝起きが悪い
□朝起きたときに疲労感が残っている
□朝起きたときに口やのどが渇いている
□日中に口で呼吸をしていることがある
□昼間に眠くなる
□集中力に欠けたり、集中できる時間が短かったりする
□自覚症状の有無を問わず、「鼻炎」と診断されたことがある
□鼻水をよくかむ
□匂いに鈍感だと感じることがある
□あごが小さく、歯並びが悪い
□ぜんそくや気管支炎など、気道粘膜のトラブルを起こしやすい
黄川田 徹 著『鼻専門医が教える「熟睡」を手にする最高の方法』
この中で当てはまる項目がいくつかある方は、「隠れ鼻づまり」の可能性がありそうです。
隠れ鼻づまりはどうして起こるの?
「隠れ鼻づまり」はなぜ起こるのでしょうか?日中は何ともないのに、夜になって寝ている間だけ鼻が詰まっているというのは不思議な気がします。これには、自律神経が関わっているようです。
鼻の粘膜に無数にある血管が、昼は交感神経が活性化されているために収縮しているのに対して、夜は副交感神経が優位になり、血管が緩んで鼻粘膜が腫れたようになることで鼻づまりが起きやすくなるのです。
この鼻づまりには、テレビ(「睡眠」のトリセツ – あしたが変わるトリセツショー(NHK))で紹介されたように、メラトニンの濃度が関係すると言われています。
隠れ鼻づまり対策は?
隠れ鼻づまりかも?と思ったら、まずはの耳鼻科に相談するのが良いと思います。
その上で、自宅でもできる「隠れ鼻づまり対策」を2つ紹介します。
1つ目は、鼻うがいです。テレビでも紹介されていましたね。スタッフが鼻うがいを使ってみて、そのコツを書いた記事がありますので、そちらも参考にしてみてください。
2つ目は、鼻チューブです。これについては次の章で詳しく説明しています。
【隠れ鼻づまりや鼻づまりなど、上気道の閉塞は鼻チューブで対応】
鼻チューブは、柔らかい医療用のチューブを鼻に挿入することで、物理的に空気の通り道を確保する医療機器です。このチューブによって、鼻づまりや、鼻の奥にある柔らかい部分(軟口蓋)の落ち込みによって狭くなった気道を、物理的に広げることができます。
鼻づまりは、鼻水が固まることによって空気の通り道を狭くしたり塞いでしまう現象です。それであれば、チューブを通すことで狭くなった空気の通り道を広げてあげようというのが鼻チューブの発想の原点です。実際に手術時などの医療の現場では空気の通り道の確保のためにこうした経鼻チューブ(もっと硬いもの)が使われているのですが、鼻チューブはそれを麻酔をしていないときでも自分で入れられるように改良したものです。
この鼻チューブを挿入することで、睡眠の質の改善、鼻呼吸の促進、いびきの改善などにつながります。
鼻チューブの入れ方のコツ
はじめは鼻腔の途中までは通る鼻と同じように入って行きますが、行き止まりのようなところがあります。少しずつ角度を変えたりしながら通る場所を探っていると「グッ」と先に進めるポイントがわかります。ゆっくりと少しずつ押し込むような形で通します。私の場合は「コツン、コツン、グッ」というような感覚で入れることができました。通る方と違い、鼻腔内を探るような形になるので若干刺激があります。そのため鼻チューブを入れてもくしゃみ・鼻水・涙などが出ない状態になってから試されることをオススメします。
また鼻からの気道は目の下を通りながら、耳の方に向かって進むということをしっかりイメージしてください。鼻から挿入して上の方に進むイメージで挿入し続けると、気道の上(イメージ的には目の下あたり)をつついてしまうと反射でくしゃみ、鼻水などが出ます。自分の体の構造をしっかりと理解することで、痛みを避けることが可能になります。
もちろん、鼻中隔の湾曲は人によって異なりますので、鼻チューブが意外なほどスムーズに入る方もいらっしゃると思います。しかしながら「通りの悪い方から鼻チューブを挿入すること」は鼻チューブに慣れないうちはお止めください。問題なく鼻チューブを挿入すること、そして違和感に慣れることをまず優先してください。詰まっている方からチャレンジすることは、初見のゲームをハードモードでスタートするようなものです。まずはイージーモード、ノーマルモードで鼻チューブがどのようなものか知ることからスタートしてください。
※非常に強い痛みを感じるようでしたら鼻つまりの症状も含め耳鼻科にご相談ください。
鼻づまりによる昼間の気道閉塞の対策としても
上気道の閉塞をサポートする鼻チューブですので、軟口蓋の落ち込みなどによる閉塞はなくても鼻づまり(鼻腔の閉塞)にもご利用いただけます。つまり鼻チューブは昼間でも気道の確保に使えるということです(連続10時間使用可能)。
昼間、鼻が詰まってボーっとしたり、目の辺りが重かったり、マスクをしていて口呼吸になっている時などに鼻チューブを利用されている方は多くいらっしゃいます。この時は、起きているので軟口蓋の落ち込みを抑える必要はない(いびきをかいているわけでない)ので、鼻チューブの長さは125mm(小顔の方は120mmでも可)が適切だと思います。硬さは柔らかい方(Soft)で大丈夫です。詳細は医師とご相談ください。
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