コラム



スタッフコラム


脱・根性論的コンディショニング
〜アスリートのコンディショニング実態を解明せよ〜
カバディ日本代表下川正將選手がこだわる寝起きのサイン(後編)

健康の3要素である運動・休養・栄養。その中でも、最もコントロールが難しいのが睡眠だ。これまで睡眠の重要性は、至る所で説かれてきたが、良い睡眠を取るためのノウハウはほとんど提供されてこなかった。このため、いま睡眠への探求が至るところではじまろうとしている。特に、その動きが活発になってきたのがスポーツ界だ。質の高い睡眠をコントロールすることが、成長への伸びしろだと考えるアスリートが増えている。その一人カバディ日本代表の下川正將選手に話をきいた。前編では、睡眠に取り組むようになったきっかけまでの話をうかがった。後編では下川選手の睡眠への取り組みを掘り下げてきいた。

下川正將選手(しもかわ まさゆき)の写真

下川正將選手プロフィール (しもかわ まさゆき)
大正大学OBによって構成される日本のカバディ界の名門、大正仏陀に所属し、全日本選手権4連覇を果たすなど数々の実績を上げる。2014年にはカバディ発祥国インドで同年初設立されたプロカバディリーグのU Mumbaに日本人初のプロカバディストとして参戦。2014年から2018年までカバディ男子日本代表でキャプテンを務めた。

下川正將選手の写真

下川正將選手プロフィール
大正大学OBによって構成される日本のカバディ界の名門、大正仏陀に所属し、全日本選手権4連覇を果たすなど数々の実績を上げる。2014年にはカバディ発祥国インドで同年初設立されたプロカバディリーグのU Mumbaに日本人初のプロカバディストとして参戦。2014年から2018年までカバディ男子日本代表でキャプテンを務めた。



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下川選手の考える質の良い睡眠とは?

下川正將選手の写真

朝起きてコンディションが良いときもあればどうしても悪いときもあるので、そこで睡眠の質に違いがあると思います。詳しい原因まで分からないですが、同じ睡眠時間でもそういう差が出てくるので、どこかで差が出ているのかなと感じることはありますね。

朝起きたときの感覚を大切にしているというのは、すごく共感が持てます。睡眠の質は分かりにくいと思いますが、普段はどのようにして質の良し悪しを判断していますか?

朝起きたときの寝覚めの感覚、特に体の感覚で判断することが多いです。わたしの場合は、腰に(良し悪しが)顕著にあらわれることが多いので、起床時に腰に張りがあるかないかは必ずチェックしています。

また、そのときのコンディションによって、いびきをかくことがあるようです。とても疲れているときや、お酒を飲んだときは、いびきがすごいと言われることもありますので、睡眠の質という点では、まだ改善の余地はあるかもしれません。

カバディでは、コンディションの調整が試合にどのように影響するか
エピソードがあれば教えてください。

下川正將選手の写真

カバディは、集中力がパフォーマンスに大きな影響を与えるので、特に睡眠は大切です。実際に睡眠時間が非常に少なかった頃は、途中でどうしても集中力が切れしまい、納得するプレーができませんでした。しかし、しっかり睡眠がとれたときは、連戦が続いて疲労が溜まっているものの、試合を重ねるごとに集中力が増し、邪念もなくプレーに専念することができました。実際に、2017年の全日本大会では試合を重ねるごとに集中力が増していき、特に決勝戦では身体的な疲労は溜まっていましたが完全にゾーンに入った状態でプレーができました。

カバディはどのような部分で集中力が発揮されるでしょうか?

ルールは非常にシンプルですが近距離の中で競技を行うということで、相手の動きを読みつつ裏を取りながら距離を詰めることなどから非常に頭を使います。ですので、一瞬の判断ミスが大量失点に繋がることもあり、変な邪念が入ることでパフォーマンスが下がってしまうのです。

そんな下川選手にとって睡眠とはどのようなものでしょうか?

自分自身の成長を促すためには欠かせない力の源になるものです。それは、体作りの面はもちろんのこと、メンタル面でも不可欠なものであると思っています。

食事等も含めた全ての要素の中で睡眠が一番重要であるということですか?

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どんなに栄養が摂れていても、どんなに良いトレーニングメニューを組んでも、結局は睡眠なしで無理にトレーニングをおこなえば、おそらくマイナスになってしまうでしょう。様々な要素で構成される体ですが、体に与える栄養の中でも、一番重要なのが睡眠だと考えています。

コンディションによってトレーニングの量を調整するタイプ、もしくは決めた量をしっかりとこなすタイプ下川選手はどちらでしょうか?

自分は臨機応変に調整をするタイプですね。できることはしっかりとやり切りたいのですが、過剰なトレーニングが怪我に繋がることもあります。実際に以前、腰に違和感があるにも関わらず過剰なトレーニングをしたことで腰に怪我を負ってしまったという経験もしているので、やはり自分の体をしっかりと配慮した上でトレーニングの量を調整しています。

下川選手はこれから睡眠にどのような心がけをしていきたいですか?

質の良い睡眠を取ることに普段からこだわっていますが、実際には疲労や眠気が残っていることもあり、必ずしも毎日良い睡眠を取れているわけではありません。つまり、真の睡眠というものをまだ理解できているわけではないので、これからもっと勉強をしてより質の良い睡眠が取れるよう極めていきたいですね。

取材・文・写真:瀬川泰祐(編集者・スポーツライター)
試合中写真 : 本人提供

瀬川泰祐プロフィール

株式会社カタル代表取締役。社会派のスポーツライターとして、東洋経済オンライン、ITメディア、OCEANS、スポルディーバなどで執筆中。アスリートライブ編集長、ファルカオフットボールクラブアドバイザー。最近の取材テーマは「Beyond Sports」。社会の接点からスポーツの価値を探る。興行ビジネス歴20年。http://segawa.kataru.jp